あなたの例え話、
「うん、分かりやすいね」で終わっていませんか?
相手の理解は得られるようになった。でも、心の底から「なるほど!」と唸らせたり、議論の流れを変えたりするまでには至らない…。
基本をマスターしたからこそ、そんな「分かりやすい」の壁を感じているのではないでしょうか。
この記事は、そんなあなたのための「上級編」です。
単なる分かりやすさを超え、相手を深く納得させ、時には考え方すら変えてしまう――。
今回は、ひろゆき氏の議論術に隠された「3つの思考の型」を学び、あなたの例え話を「説得の武器」へと進化させます。
「分かりやすい」の、その先へ
ここまでの「例え話マスターコース」で、あなたは例え話の基本的な技術をすべて身につけました。
しかし、上級者への道は、そのもう一歩先にあります。
それは、物事の表面をなぞるだけでなく、その本質的な構造を見抜き、相手の視点を強制的に変えてしまうような例えを使いこなすことです。
その最高のケーススタディとして、今回はひろゆき(西村博之)氏の話し方を取り上げます。
しかし、彼の表面的な言葉遣いや態度を真似るのが目的ではありません。
ポイントは、その裏側にある本質を見抜いて視点を変える、強力な「思考の型」を学ぶことです。
この技術を身につければ、あなたの言葉は単なる「情報」から、相手の心を動かす「体験」へと変わるでしょう。
ひろゆき流「例えの型」3つの正体
ひろゆき氏が多用する、人を納得させる例え話は、主に3つの「思考の型」に分解できます。
①【極端化】思考法:物事の「もしも」を考え、本質をあぶり出す
②【構造転用】思考法:全く違う世界の「ルール」を借りてくる
③【共通認識】思考法:相手の「知っていること」からスタートする
では、一つずつ詳しく見ていきましょう。
①【極端化】思考法:本質をあぶり出す「思考の顕微鏡」
これは、ある事柄の条件を「もしも、ものすごく大きかったら?」「もしも、1円の価値しかなかったら?」というように、極端な状況に置き換えてみる思考法です。
日常のスケール感では見えにくい物事の本質や矛盾点を、まるで顕微鏡で拡大するように強制的にあぶり出す効果があります。
議論相手:「〇〇という活動には、お金には代えられない価値があるんです!」
ひろゆき氏:「じゃあ、その活動に時給1億円払うって言われたら、そっちをやりますよね? あなたにとって、その活動の価値は時給1億円よりは下ってことですよね?じゃあいくらなんですか?」
解説: 「お金には代えられない」という、フワッとした感情論に対して、「時給1億円」という極端な数字をぶつけることで、「価値」という概念を具体的な天秤に乗せざるを得ない状況を作り出しています。
これにより、相手は自分の価値観の具体的な「上限」を意識させられるのです。
例:趣味の価値を伝えたい時
友人:「そんなマニアックな趣味、何が楽しいの?」
あなた:「うーん、じゃあもし、『明日からその趣味を禁止される代わりに、100万円もらえる』って言われても、俺は断るかな。それくらい、自分にとっては大事な時間なんだよね」
このように極端な状況を設定することで、目に見えない「気持ちの強さ」に具体的な輪郭を与え、相手に伝えることができるのです。
②【構造転用】思考法:未知を既知に変える「体験の翻訳機」
これは、相手が全く知らない専門的な分野の話を、相手が詳しいであろう別の世界の「構造(ルール)」に当てはめて説明する思考法です。
未知の体験を、既知の体験に変換する、まさに言葉の世界の「翻訳アプリ」のような役割を果たします。
これにより、相手はただ理解するだけでなく、話の内容を「自分ごと」として疑似体験できるのです。
「プログラミングで良いサービスを作るのって、美味しいカレーを作るのに似てるんですよね。レシピ通り(マニュアル通り)に作ってもそこそこのはできるんですけど、本当に美味しくするには『隠し味』とか『火加減』とか、レシピに載ってない経験則が必要じゃないですか。良いサービス作りもそれと一緒で…」
この表現法は、自分の好きな「ニッチな趣味」の面白さを、誰もが知っていることに例えて説明する時に絶大な効果を発揮します。
例:自作キーボードの魅力を伝えたい時
友人:「キーボードなんて、どれも同じじゃないの?」
あなた:「それが全然違うんだよ。例えるなら、ファッションに近いかな。既製品のスーツも良いけど、自分の体型に完璧に合わせたオーダーメイドのスーツって、着心地も見た目も最高じゃない? 自作キーボードも、自分の指の長さや打鍵の癖にパーツを合わせて作るから、自分だけの『最高の着心地(打ち心地)』が手に入るんだよ」
「オーダーメイドスーツ」という既知の体験の構造を借りることで、「自作キーボード」という未知の価値を、相手の脳内にありありと描き出す。
これが構造転用の力です。
③【共通認識】思考法:一瞬で距離を詰める「心の合鍵」
これは、話の導入で「ですよね?」「みたいなことってありますよね?」と、相手が絶対に「YES」と答えるであろう共通の認識や体験から入る技術です。
どんなに厳重な扉も、正しい鍵を使えば簡単に開くように、この思考法は相手の心の扉を開け、「この人は自分のことを分かってくれる」という信頼感を一瞬で獲得する効果があります。
これこそが、ひろゆき氏の代名詞とも言える「それってあなたの感想ですよね?」の裏にある技術です。
【攻めの使い方:議論の土俵を支配する】
ひろゆき氏の例:「それってあなたの感想ですよね? データとかあるんですか?
解説:「個人の感想と、客観的なデータは別物である」というのは、誰もが否定できない【共通認識】です。
最初にこの「絶対にYESしか言えない事実」を提示することで、相手を自分の土俵に引き込み、議論の主導権を握っているのです。
あなたの日常での使い方:
友人が「新しい挑戦が怖い」と悩んでいたら…
(相手がジブリ好きなら) →「分かるよ。まるでキキが、知らない街で初めて宅急便の仕事を始める時みたいな気持ちだよね。不安だけど、きっと素敵な出会いがあるよ」
(相手がゲーム好きなら) →「それ、新しいRPGをレベル1から始める時の感覚でしょ。最初は不安だけど、少しずつ進めば絶対に楽しくなるって!」
解説:「攻め」の使い方とは対照的に、こちらは相手の世界観という【共通認識】を足がかりにします。
これにより、あなたのアドバイスはただの一般論ではなく、「親友からの、心に響くメッセージ」に変わるのです。
【重要】この思考法を「最高の武器」にするための心構え
ご紹介した3つの型は、切れ味の鋭い「諸刃の剣」です。
使い方次第で、相手の心を動かす最高の武器にも、相手を傷つけるだけの凶器にもなり得ます。
この技術を使いこなす一流の人物と、ただの「論破好きな嫌な人」を分けるものは、たった一つ。
それは「技術を使う目的」です。
あなたが目指すのは、もちろん後者のはずです。
常に「この例えは、相手の理解を助けるだろうか?」という愛のある問いを心に抱いてください。
その気持ちこそが、この強力な技術を正しく導く、最高のコンパスになります。
まとめ|あなたの言葉を「体験」に変えよう

今回は、例え話の上級編として、ひろゆき氏の技術に隠された3つの強力な思考の型を解説しました。
- 【極端化】思考法(思考の顕微鏡)
- 【構造転用】思考法(体験の翻訳機)
- 【共通認識】思考法(心の合鍵)
そして、最も重要なのは、これらの技術を「相手への理解」という目的のために使うという心構えです。
これらの型を意識することで、あなたの言葉は、単に分かりやすいだけでなく、相手の視点を変え、心を動かす「体験」そのものに変わっていくはずです。
まずは、あなたが一番使いやすそうだと感じた型を一つ、明日の会話で試してみることから始めてみてください。
次のステップ:例え話マスターコース、完全修了!
おめでとうございます! この記事を最後まで読み終えたあなたは、これにて「例え話マスターコース」の全課程を修了したことになります。
STEP1:【特徴編】例えが上手い人の7つの特徴
STEP2:【鍛え方編】例え話が上手くなる方法
基礎から応用まで、例え話に関する全ての知識と技術を学びました。
ぜひ、最初の【完全マップ】の記事をブックマークして、何度も見返しながら、あなたの表現力を磨き続けてください。
あなたの言葉が、あなたの人生をより豊かにすることを、心から願っています。
筆者プロフィール
名前:Kane
活動:Amebaブログやnoteなど「無料ブログ専門のWEBライター」として、200件以上のブログ記事を添削・アドバイス。
「伝わる表現の伴走者」として、個人の”表現したい”気持ちをサポート。
想い:元々、自分の伝えたいことを”伝えることが大の苦手”で、自分の「好き」が伝わらない失敗も多々経験。
その経験から、「センス」ではなく「技術」で表現力を高める方法を発信中。
・Ameba:https://ameblo.jp/kanegtr/
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